起業家とはどういう人で、単に起業した人との違いがわからない人が多いことに驚きを禁じ得ない。
- 「俺、起業家だよ」
- 「ベンチャーキャピタルから10億円の資金集めた起業家です」
- 「ネットビジネスで起業してスゲー儲かっている起業家です(うへへぇ)」
- 「株式上場するために起業家になりました(まだ何にもやってないけど)」
と、自分から言っている人が、まず本来の意味の起業家であることはない。
しかしながら、世間一般では、起業家とは単に会社を作り起業する人のことを指している。
が、それではあまりにも芸がなさすぎるし本当の起業家に対して失礼極まりないと思う。
ちなみに、私はこれまで2度起業していますが、自分が起業家だと思ったこともないし、名乗ったこともない。
ただ、日本で最大級の起業家支援サービスを行っていて、起業家としても有名な社長の紹介によりアントレという起業雑誌(2018年冬号※新春スペシャルP70~71)で特集されフルカラー2ページ(A4)で掲載されたことがありますが。
起業家と単に起業した人の明確な違い
起業するということは、何らかの事業を立ち上げていくことですが、その事業を、どういう目的で行っているのか?
それによって、起業家と単に起業した人の違いが明確に分かれることになります。
起業して事業を行う目的
起業して事業を行う目的というのは、大きく2つに集約されます。
- 自分の問題を解決するため
- 社会の問題を解決するため
自分の問題を解決するためというのは…
例えば、上司や会社が嫌なので脱サラしたい。収入を上げてもっと良い生活をしたいとか。自分の夢や志を実現したいということを含め自分の問題解決ありき。
一方で、社会の問題を解決するためというのは…
例えば、少子高齢化問題とか食糧問題とか。社会の問題解決ありき。
つまり、事業を通して解決したいものが何なのか?
それによって、起業家なのか、単に起業した人なのか違うってことですね。
「ああぁ、なるほどねぇ…こういうことかぁー」
と、勘の良い人なら次のように思ったかもしれない。
- 社会の問題を解決するため=起業家
- 自分の問題を解決するため=単に起業した人
と、ですが、おしい!そうではありません。
起業家とはこういう人
起業家とは…
- 自分の問題と社会の問題を一挙に解決している人
または、それを実現しようと地に足のついたことをしている人こそが起業家。
どういうことかというと…
自分の夢や野心だけを実現したけど、他人に迷惑を掛け、社会の問題を解決するどころか逆に社会問題を引き起こしている人もいる。
それはまるで、汚い排気ガスをガンガンまき散らして暴走車みたいに走っているような人。
本人は爆音をとどろかせて走っているから気持ち良いだろうけど、迷惑行為であり単なる公害です。
そういうのは、明らかに起業家じゃない。断じて違う。
自らが犠牲になる人が起業家なのか
一方で、社会の問題を解決したけど、自らが犠牲になのも起業家ではない。
「自らが犠牲になってもいいから…社会問題を解決したい」という気高い考えの持ち主で、悪を懲らしめられるなら自分はどうなってもいい…みたいな過度な英雄思想がある人もいるけど、それはそれとして立派でしょうけど起業家ではない。
なぜなら…
- 自分の問題と社会問題を一挙に解決している人
または、それを実現しようとしている人こそが起業家だからです。
確かに、自己犠牲という考えは時に必要だけど…
それが最初から最後まである人は、突き詰めていくと自己犠牲になることで自分にとって悦(えつ)になったり、自分の中にある満たされない感情を満たすために問題を解決しようとしているにすぎない。
単なる事業が好きな人≠起業家
単なる事業が好きな人、資金調達をガンガンやって、ファンドとか活用してレバレッジを最大限活用したりして事業拡大に興奮を覚える人もいるけど…そういう人も起業家ではない。
まぁ、最初は、起業家らしいことをやっていても、途中や最後で悪い方向へ行ってしまう人も珍しくない。
ただ、そういう人は、その時点で起業家ではない。良い悪いは別としても、事業拡大が好きな人というだけ。
事業の拡大欲というのは、一度走り出したら暴走列車のように止まらない。
ただ、その事業拡大に、自分の問題と社会問題の両方を解決するための要素がバランスよく含まれているのであれば、何ら問題ないけど、それが崩れた瞬間、起業家じゃなくなる。
起業家とは、自分の問題と社会問題を常に意識しながら走り続け解決し続ける人。
これぞ起業家を1人挙げるとしたら…
これぞ起業家を1人挙げるとしたら、この人しか思いつきません。
ヤマト運輸の小倉昌男氏。
正確には、2代目社長ではあるものの、宅急便事業の生みの親。
起業家としてのあるべき姿
「運輸省なんて腐った官庁は要らない。運輸省のおかげで“宅急便”は、ずいぶん損している。」
「ということは良質なサービスを受けられない利用者が損しているということだ」と。
1986年夏、当時の運輸省(現在の国土交通省)の大臣:橋本龍太郎を相手取って行政訴訟に踏み切り路線許可を勝ち取る。
それにより宅急便が市民権得ることになったわけですよね。
これぞ、起業家としてのあるべき姿ではないでしょうか。
また、宅急便事業成功の後にはあるインタビュー動画(DVD)こう語っている。
「障害者が健常者と同じような仕事をしていても、もらえる賃金が不当に安すぎことに私は、怒りを覚える…だから、この事業は義憤(ぎふん)がキッカケだったんです」
小倉昌男氏
そうして手掛けたのが…
『スワンベーカリー』
という障害者の自立支援を目指したパン屋(カフェ含め)を創業。
今や、全国に28店舗以上、350人以上の雇用を創出している。
見事に自分の問題(志)と社会の問(宅急便、障碍者支援)を解決していますからね。
彼を語るには、それこそ本何冊あっても足りないくらいですが、間違いなくこれぞ起業家です。
起業家を目指す若者へ向けての言葉
そんな小倉昌男氏から、ありがたいお言葉があります。
(起業家を目指す若者へ向けての言葉)
まず、志を高く持ちなさいということを言いたい。
正直、志の低い人はダメです。また人間的にも優れていないといけない。
人格・品格の無い人に起業は無理です。
限りのある短い人生なんだから、品格高く志高く生きて欲しいですね。成功するしないは、たいしたことではありません。
成功して得られるお金なんて儚いものです。
それよりも、成功するために必死に勉強したり努力したりすることの方が大事です。
ですから、若い人は高い志を持って、一生懸命努力してほしい。
自分の都合だけを考えて商売を続けていると会社は駄目になります。
小倉昌男氏
何ら難しくないシンプルな言葉ですが深み重みが半端なくありますよね。
立派な起業家にならなくても良いけど
正直、小倉昌男氏のような立派な起業家にならなくても良いけど…というか、心配しなくても現実的になれない確率の方が高いですが。
少なくとも、起業家を名乗るのなら、社会に迷惑かけずに自分の問題は最低限解決できて、余力があれば社会の問題にも目を向けて問題解決に挑戦していく。
そして、実際に社会問題を解決できるようになれば、起業家として成功だと思います。
「社会問題を解決しますぅー!」
なんて言いながらも、自分の問題も満足に解決するどころか、起業して借金ばっかりして倒産してしまう人が後を絶たないわけですから…笑えないですよね。
ちなみに、同じ起業でも独立起業と単に起業の違いが知らないから、そういう事態になっている人がいるのだと思います。
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