共同経営に失敗し500万円と友人が消えた。
共同経営のビジネスパートナーに裏切られお金を持ち逃げされたワケではない。
突然、何の前ぶれもなく自分の目の前から一瞬で消えたワケでもない。
そうではなく、じわじわとゆっくり確実にそれまで見たことも聞いたこともない共同経営という得体の知れない魔物の手によって私が出資した500万円が奪われた。
今振り返ると、そんな感覚を思い起こします。
では一体なぜ、共同経営に失敗し500万円を失うことになったのか、さらには友人までも失ったのか?
実体験に基づいて話していきます。
共同経営開始前は失敗確率0%だと確信
共同経営開始前は、失敗することなど全く考えることなく失敗確率0%だと心の底から確信していました。
ことの始まりは同期で数年来の友人でもある広田さん(仮名)と意気投合。
お互いに本業とは別に収益が上がる事業が欲しい。
そんな社長同士ならではの利害が一致。
早速、資金を500万円ずつ出し合い資本金:1,000万円で株式会社を立ち上げて共同経営を開始したことに始まる。
なぜなら、お互いに会社経営の未経験の素人同士がやるのではなく、お互いに10年以上の会社経営の経験者であり当時、年商数億規模で安定して利益も出してる。
そんな社長同士が組む共同経営だったからです。
キャプテン翼で言ったら、大空翼と岬太郎。
居酒屋で言ったら、ビールに枝豆。
そんなゴールデンコンビとも言える社長同士が組む共同経営が失敗するハズがない。失敗する要素が見当たらないほどでした。
画期的なサービスを思いつく
共同経営の事業内容を話し合っている際当時まだ多くの人が注目していなかった画期的なサービスを思いつきました。
そして、リサーチ段階でも確実にニーズがあることを掴んでいたんです。
ちなみに、今となっては誰しもが知るサービスですが、そのサービスを事業展開した会社の中には、株式上場する会社まで出るほどになっています。
だからこそ、余計にもし、あんなことが起きずに共同経営をやっていたら今頃は…なんて思ってしまうこともありますが。
とまぁ、そんな画期的なサービスを思いついたこともあり売れる、売れに売れるだろ。
私と広田さんならば、マジでやれば売れに売れて本業を超すほどの収益を上げるのは時間の問題だろう。
「ていうか、ヤバイなこんなに利益出ることになるけど役員報酬っていくらに設定しようか?」なんて具合にニヤニヤほくそえみ浮かれていた。
その当時は、アハ、あはははぁなんてくらいに甘くフワフワなんて感じでお祭りで売っている綿アメに負けないくらいに甘く浮かれていた。
開始前から成功の前祝いを繰り返す日々
開始前から、そんな成功した気分にどっぷりと肩まで浸り成功の前祝いを繰り返す日々。
「やっぱり共同経営ってイイよねぇ」
なんて、まだ事業が開始していないのに、共同経営バンザイバンザぁーイバンザぁーイてな感じだった。
(どうしようもねぇーなぁー)
夜な夜なオフィスビルが集中する丸の内や眠らない街・新宿の某ホテルのラウンジや大都会東京の夜景が一面に見えるバーにて。
そんなところで、気分良くお気に入りのヤマザキ12年のロックを「ああぁーっ、くぅー」(のどがジュワっと熱くなる)なんて言いながら飲み干し成功の前祝いを上げるかのように…
「乾杯」
「かんぱぁーい」
「かんぷわぁーい…」
なんて繰り返し、広田さんと酒を酌(く)み交わしていた。
そんな夢のような時間を思い出したくないです…。
共同経営の失敗は事業が順調でも訪れる
共同経営の失敗は事業が順調でも訪れます。
少々、信じがたいことなのですが本当です。
さて、夢心地のような成功の前祝いという名の酒盛りの儀式も終え、いよいよ事業開始。
計画通りに、最初から売れに売れまくり売れるはずだった。
だが、アレっ?!
まぁ、売れてはいたんですが、当初予定の予算ペースと比べると売れない。
想像していたよりは売れない(特に新規事業ではよくあることです)。
おかしいぃうーん、なにかがおかしいぃ。
まぁ、そもそも最初から売上目標を高めに設定していたこともありますが。
(ここに失敗の原因があったんじゃないか!?)
お互い社長同士だから弱気な数値なんかではなく、本業をも上回る強気な売上目標。
(本業をやりつつの共同経営なのに)
さらには、今思えば、酒盛りしながら売上目標や事業計画を話し合っていたから、その酒の勢いもあって強気の数字にしてしまったのかもしれないですが。
(これが失敗の原因なんじゃないか!?)
これがもし、普通の会社の新規事業の売上目標とか会社経営の素人同然の人同士がやる共同経営ならば…
「おーっ、すげぇいきなり売上が上がっていてイイ感じじゃない!」
なんて具合の数字だった。
今冷静になって考えてみると決して悪い数字どころが、順調だと言えるレベルの数字だったと思う(黒字化していたから)。
しかしながら、ひたすら強気な売上目標の数値を目指して活動していたが毎月目標数値に届かない。
そんな状況が3~4ヶ月くらい続く中定例のミーティングの際に事件は起こる。
たった一言から共同経営が崩壊していく
広田さんがこう一言イライラした様子で言い放った。
そして、このたった一言から共同経営が木端微塵(こっぱみじん)に崩壊していくことになる。
「売れてないっすねぇ~ちゃんと営業やってんですよねぇ?」
と、それはまるで売れないダメ営業マンや月の大半をサボり、月末の数日しか営業活動をしていないそんなレベルの営業マンに対して営業部長が説教するように吐き捨てるようなセリフ。
私が最も嫌うことの1つでもある確実に上から目線から繰り出される言葉。その言葉には、信用どころか愛情のかけらも感じられない。
「おいっ、営業しないでサボってんじゃねぇのかぁ!?」
「毎日、客先にも行かないでどこほっつき歩いているんだぁー!?」
みたいな、そんなニュアンスを感じさせる人の温もりも愛情の一切感じることのない冷たく冷え切った言葉だった。
そんな言葉が、私の胸に突き刺さった。普通、そんな言葉を投げつけられたら激しく気持ちが落ち込んだり自分を責めたりする人もいるだろう。
「すみません。がんばっているんですけど中々、結果がでなくて…ほんとすみません」と平謝(ひらあやま)りする人もいるだろう。
だが、私はもちろん!?そのどれにも該当しなかった。
「あぁーっ、ハぁーっ!(怒り)」
なんだ、その言い方は、と怒り心頭。
その一言「売れてないっすねぇ~ちゃんと、営業やってんですよねぇ?」が、私の後頭部付近で「ぶちっ」と何かキレてはいけない、なにかがキレる音が確実にした。
そうなるとねぇ、どうなると思います?、なにが起こると思いますか?
激しい仲間割れが始まると失敗は確定する
そう見事なまでのそりゃぁそりゃぁ見事な周りの人たちが見とれるほどの激しい仲間割れが始まります。と同時に共同経営の失敗が確定します。
そして、見苦しい、聞き苦しいほどに責任の押し付け合い。男らしくもあり、女々しくもあるノーガードの打ち合い。
レフェリーもルールもない無法地帯と化すリングに上がり闘いのゴングが「カァーン…」と静かで不気味な音が鳴る。
最終的にはどちらも無傷で終わることもなければ勝利した後に得られるものなにもない。そんな戦いがお互いのどちらかがギブアップするまでに続く。
だが、死んでもギブアップしないのが社長という理解したがく奇妙な生き物。
だから、恥も外聞も捨てそんなお互いの意地とプライドが真正面からぶつかり合う。
火花散る、激突。
ビジネスチックな相手をリスペクトするような上品かつ丁寧な言葉はどこへやら。単なる悪口の言い合い?!下品かつ汚い言葉の応酬。
しまいには「そりゃぁ、言っちゃあおしめぇだろう」(「男はつらいよ」寅さんもビックリ!な)お互いの性格や人格批判までに突入してく。
そう、泥仕合(どろじあい)。お前が悪いんだよぅ。っていうかコッチは本業で忙しいんだよっ。
あーっ、ふざけんじゃねぇー俺だって本業が忙しいっそんな気持ちだからダメなじゃねぇーの!?(勢いは増すばかりで止まらない)
やっぱり、俺たち、合わないんじゃないか。共同経営なんてやるんじゃなかったよ共同経営なんて、上手くいくわけがない。
(おいおい、最初なんて言ってた!?)
いや、そんなことない…成功していこうぜ!っていう勢い、どうしたよ?お金も時間も使って、遊びじゃねんだぞぅ。
一触即発(いっしょくそくはつ)今にも、お互いの胸ぐらを掴み合うくらいの勢いでの激しい議論、いや、罵詈雑言(ばりぞうごん)。
失敗の責任や原因のなすりつけ合い
しまいのしまいには、だから、お前がぁあががいおがいおあまえおあおえめお…と、もはや興奮のあまり滑舌(かつぜつ)が悪くなり、ろれつが回らない。
適切な言葉が出てこない始末。収拾がつかないとは、正に、このこと。
それはまるで、沈みゆく船に乗りながら船長と副船長が冷静な判断を一切することなく、船が沈んでいく責任や原因をお互いがお互いになすりつけ合う。
見苦しい責任逃れ、責任転換パニック状態。
そして、そんなことが繰り返され私と広田さんの船は、共同経営という名の得体の知れない魔物によって?!ものの見事に、沈められた。
イヤ実際は、自分たちが自分たちの未熟さと共同経営をやっていく相手へのリスペクトを一切することなく、沈めてしまった。
(これが本当の原因か)
今となっては、本当に馬鹿げたことをしていたと思うけど、その当時は大真面目で真剣そのものだった。
今だからこそ言える共同経営失敗の原因
まぁ、時が経過することでしかわからないことってありますが、今だから冷静になって考えられて言える共同経営失敗の原因について触れてみたいと思います。
これから共同経営を考えている人にとって参考になれば幸いです。
本業以上に本気になれなかった
率直に言って、本業以上に本気になって時間やエネルギーを費やしていなかった。
やはり、心のどこかに「共同経営が失敗しても本業があるから…」という気持ちがあったと思います。
油断があった
まぁ、これは共同経営を開始前に成功の前祝いを繰り返す日々に象徴されていますが。どうしても、共同経営の場合は自分以外に頼る共同経営のパートナーがいるからこそ、甘えや油断が生まれてしまいます。
ある程度は仕方のないことなのですが、しかしながら、それが致命的な失敗を誘発することがあるということです。
事業計画が強気すぎた
先ほども話しましたが、事業計画の数値があまりにも強気すぎたと思います。
よく、事業計画が甘過ぎたという話しを聞きますが、我々の場合は甘過ぎたのではなかった。
これは、画期的なサービスを思いついたテンションと酒の席での勢いが合わさって地に足のついた事業計画ではなく無理があったと。
開始間もなくして黒字化していたのでむしろ早期に黒字化した面に目を向け無理のない現実的な事業計画に修正すべきだったと思います。
信じ切れない弱さがあった
基本的には、お互いに友人でもありビジネスにおいても成果を上げている者同士だったのにもかかわらず、思い返すとお互いにお互いの事を信じ切れない弱さがあったと思います。
人を信じ切るというのは想像以上に難しいことだと痛感しました。
思いやることができなかった
信じ切れないとはまた違ったニュアンスですがお互いに相手のことを思いやることができていなかったぁ…と思います。
当時としては、画期的なサービスを思いつきお互いにそれなりのビジネスの経験や成果を出す力があったからこそ悔しい気持ちもありますが。
ただ、今思えば、あの共同経営は失敗すべくして失敗したのであって偶然ではなく必然的だったと思います。
共同経営で失ったものと得たもの
共同経営で失ったものと得たものがありますのでまとめておきます。
- 共同経営で失ったもの…
お金500万円
友人(同期でビジネス仲間)
- 共同経営で得たもの…
共同経営は何があっても絶対にダメ
自分で事業やった方が気楽で成功する
ちなみに、今ではそんな貴重な資金と時間エネルギーを費やして取り組んだ共同経営。
最後は、憎しみ合い、罵詈雑言を浴び合いまくった形にはなりましたが、共同経営をした広田さんへ感謝しています。
そう思える自分に対して誠に勝手ながら成長しているなぁ~なんて思っています。
共同経営はおススメしません
私は共同経営は人にはおススメしません。
なぜなら、共同経営で失敗いる人は多数知っていますが共同経営で成功している人は誰一人として、知らないからです。
また、共同経営するくらいなら自分一人で事業をやった方が遥かに成功確率が高いから。
しかしながら、共同経営がどうすれば成功するのかその秘訣は知っています。
ですから、どうしても是が非でも共同経営を成功させたいと考えている人にはコチラが参考になります。
【参考】共同経営がほぼ100%成功する秘訣【共同経営失敗の経験者が語る】
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